東京高等裁判所 昭和63年(行ケ)98号 判決 1990年1月30日
メキシコ国メキシコ市 四デーエフ スリバン五一
原告
ソウサ テスココ ソシエダ アノニモ
右代表者
イサツク エル シラー
同
ウベルト デユラン シヤステル
右訴訟代理人弁理士
松田喬
東京都千代田区霞が関三丁目四番三号
被告
特許庁長官 吉田文毅
右指定代理人通商産業技官
平山孝二
同
藤文夫
同
田中久喬
同通商産業事務官
柴田昭夫
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
この判決に対する上告のための附加期間を九〇日と定める。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 原告
「特許庁が昭和五八年補正審判第五〇一八〇号事件について昭和六二年一二月一七日にした審決を取り消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決
二 被告
主文第一、二項同旨の判決
第一 請求の原因
一 特許庁における手続の経緯
原告は、昭和五二年八月四日、名称を「スピルリナ藻を補足した動物用人工食用物」とする発明(以下「本願発明」という。)について、一九七七年二月一一日にメキシコ国にした特許出願に基づく優先権を主張して特許出願(昭和五二年特許願第九三七二三号)をし、昭和五七年一〇月二七日付け手続補正書により特許請求の範囲その他の補正(以下「本件補正」という。)をしたが、昭和五八年七月一日、本件補正は明細書の要旨を変更するものとして、補正却下の決定があつたので、昭和五八年一一月八日審判の請求をし、昭和五八年補正審判第五〇一八〇号事件として審理された結果、昭和六二年一二月一七日「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決があり、その謄本は昭和六三年一月二〇日原告に送達された。
なお、出訴期間として九〇日が附加された。
二 本願発明の特許請求の範囲
1 本件補正前の特許請求の範囲
別紙「特許請求の範囲」記載のとおり。
2 本件補正明細書記載の特許請求の範囲
本文に詳記するように自然培養によるスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナプラテンシス種に属するスピルリナ藻を真空筒、その他真空容器中に収容して前記スピルリナ藻の内部圧力と真空中における外部圧力との差違によりその含有液を十分に排出する程度に組織を崩壊させて前記スピルリナ藻の組織中に存在する塩分を含有する水液を排出させ、更にかくした前記崩壊スピルリナ藻を強力なシヤワー状噴射水を以て洗滌し、これと前後してその崩壊スピルリナ藻を微小な濾し目の濾布、濾紙を以て濾過して所求の程度に成熟した前記スピルリナ藻を選別し、これを十分に乾燥して成分の一様性を保持した崩壊スピルリナ藻を粉末になし、この粉末のみを以て構成したことを特徴とする動物食料等に対するスピルリナ藻の粉末添加剤。
三 審決の理由の要点
1 本件補正に対する却下決定の理由は、次のとおりである。
「補正後の特許請求の範囲に記載された「真空筒、その他真空容器中に収容して(中略)上記スピルリナ藻を選別し、」は、願書に最初に添付した明細書(以下一当初明細書」という。)に記載されておらず、かつ、右明細書の記載からみて自明のこととも認められないので、この補正は、明細書の要旨を変更するものと認める。したがつて、本件補正は、特許法第五三条第一項の規定により却下すべきものである。」
2 これに対し、請求人(原告)は、請求の理由において、当初明細書の特許請求の範囲の「採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を濾過、乾燥し」の記載、及び該説明書中の「これを真空洗滌、即ち、真空分離機等を用いて洗滌することによりスピルリナ藻の内面的組織、ないし、栄養成分は十分に剔出され(第四九頁下から第二行ないし第五〇頁第一行)、」、「・・・あるいは、更に製粉し、これを乾燥して乾燥粉末藻として使用するものである(第五〇頁第五行ないし第七行)。」の記載は、補正却下の決定の理由である「真空筒、その他真空容器中に収納して」の技術的思想の表現を充足しているというに十分であるから、前記補正は当初明細書の要旨を変更するものではない旨主張している。
3 そこで前記補正却下の決定の当否について検討する。
(1) 当初明細書には、主に、スピルリナ藻の乾燥粉末の有効性について記載され、該粉末の動物飼料への添加に関して記載されている。そして、自然培養したスピルリナ藻からその乾燥粉末を得る処理手段そのものに関しては、請求人が指摘した前記第2項に記載の内容の事項が記載されているにとどまる。この記載内容によれば、当初明細書には、前記の処理手段については、スピルリナ藻を採取後、真空洗滌すなわち真空遠心分離機等を用いて洗滌することによりスピルリナ藻の内面的組織ないし栄養成分を十分に剔出し、脱出後の藻の懸濁液を濾過し、次いで乾燥して粉末にすることが表されているものと認められる。
(2) 一方、前記補正後の明細書には、スピルリナ藻は多量の塩分含有水溶液を包有し、濾過し粉末化することが困難で、いきなり摺り潰すとか、砂を利用して藻から前記水液を排出する従来法では有効成分を逃出、減損する弊があり、機械的手段で前記水液を排出することは未だ未解決であること(第二頁第一七行ないし第三頁第八行、第五頁第一五行ないし第六頁第一三行)、本願発明(補正後の発明)は前記弊が全くないスピルリナ藻の粉末を得ることを目的とすること(第三頁第八行ないし第一一行)が記載されている。
しかして、原審において明細書の要旨を変更するものであるとして指摘した補正後の特許請求の範囲の前記の記載は、自然培養したスピルリナ藻から崩壊スピルリナ藻の乾燥粉末を得るに当たつての処理手段を記載したものであり、この処理手段は、自然培養したスピルリナ藻を(イ)真空筒、その他真空容器中に収容してスピルリナ藻の内部圧力と真空中に於ける外部圧力との差違によりその含有液を十分に排出する程度に組織を崩壊させてスピルリナ藻の組織中に存在する塩分を含有する水液を排出させ、(ロ)更にかくした前記崩壊スピルリナ藻を強力なシヤワー状噴射水を以て洗滌し、(ハ)これと前後してその崩壊スピルリナ藻を微小な濾し目の濾布、濾紙を以て濾過して所求の程度に成熟したスピルリナ藻を選別する、処理手段である。この処理手段を経た崩壊スピルリナ藻は乾燥して粉末にされる。そして、補正後の明細書にはこの処理手段の採用により前記目的が達成されることが記載されている(第三頁第一二行ないし第四頁第一一行、第六頁第一九行ないし第七頁第二行)。
(3) 以上みたところによれば、当初明細書には、補正後の特許請求の範囲に記載の前記(イ)~(ハ)、なかんずく(イ)、(ロ)の処理手段、すなわち、真空容器に収納し真空処理し、得られた崩壊スピルリナ藻を強力なシヤワー状噴射水で洗滌することが記載されていると認めることはできない。また前記処理手段の採用が、当初明細書の記載からみて自明な事項と認めることもできない。請求人は、請求人が指摘した前記当初明細書中の記載は、補正の却下の決定の理由中で指摘した補正後の特許謂求の範囲に記載の技術的思想を表現している旨主張する。
しかしながら、当初明細書中に記載の「真空洗滌、即ち真空遠心分離機等による洗滌」が、補正後の特許請求の範囲に記載の真空容器中での真空処理(具体的には、スピルリナ藻の糊状の固りを真空容器中に延展状に収容し、真空ポンプで真空状態にし三〇~六〇分維持したり(第七頁第一七行ないし第八頁第五行)、真空ポンプによつて吸引し細い真空筒を通過させる(第一〇頁第三行ないし第五行)処理)、次いで行う強力なシヤワー状噴射水による洗滌(具体的には、真空処理した崩壊スピルリナ藻を濾布上に載置し、これを動揺させながら強力なシヤワー状噴射水の注水により洗滌する(第八頁第一七行ないし第一九行))という処理手段によつてスピルリナ藻中の塩分含有水液を排させる技術的思想を表現しているとは到底みることができない。
したがつて、本件補正は当初明細書の要旨を変更するものと認める。
4 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第五三条第一項規定により却下すべきもとした原決定は妥当である。
四 審決の取消事由
審決は、当初明細書記載の技術内容を誤認した結果、本件補正は、明細書の要旨を変更するものであると誤つて判断したものであるから、違法であり、取り消されるべきである。
すなわち、審決は、当初明細書には、補正後の特許請求の範囲に記載されたところの、(自然培養したスピルリナ藻を)真空容器に収納し真空処理し、得られた崩壊スピルリナ藻を強力なシヤワー状噴射水で洗滌することが記載されていると認めることはできない、と判断している。
しかしながら、右技術的事項は当初明細書の特許請求の範囲に記載されており、発明の詳細な説明の項においても「これを真空遠心分離機等を用いて洗滌することにより(第四九頁第一八行ないし第一九行)」と記載され、また同項には「上述した藻はヒユーゴ・バン・ランデゲーム、ダニエル・ロンシヤム、アルフオンソ・ランダ、及び、クラウデイオ・サンチラン・サンシエの一九七四年八月一五日付メキシコ国特許第一二五八四六号に示された方法によつて培養基から分離される(第三六頁第一三行ないし第一八行)」と記載されており、右メキシコ国特許第一二五八四六号の明細書において「回転式円筒濾過器」、「円錐形円筒濾過器」等と表現されているものは、すなわち真空遠心分離機であり、これら機械の中を真空にすることも、それとともに真空処理後の藻類を強力なシヤワーで洗滌することも明らかに記載されていることからして、当初明細書には前記技術的事項は記載されているのである。
また、審決は、前記技術的事項の採用は、当初明細書の記載からみて自明な事項と認めることもできない、と判断している。
しかしながら、スピルリナ藻を真空処理ないし真空洗滌することは普遍的な事柄であり、しかもこれを利用するに多数の手段があり得るとともにこれを特許請求の範囲に限定的に表現することは本願発明の実を全く失墜するものであるから、真空処理、真空洗滌ないし真空遠心分離機等を用いて洗滌するというがごとき用語を用いて表現することはこの種技術的思想として一般的な表現であるに外ならず、前記技術的事項の採用は、当初明細書の記載からして自明な事項である。
以上のように、スピルリナ藻の処理に当たつて、これを真空容器に収納し真空処理し、得られた崩壊スピルリナ藻を強力なシヤワー状噴射水で洗滌することは自明のことであり、また右技術的事項は当初明細書にも記載とれているものである。
したがつて、審決が、本件補正は明細書の要旨を変更するものである、と判断したのは誤りである。
なお、審決は、「当初明細書には、「スピルリナ藻の内面的組織ないし栄養成分を十分に剔出し、脱出後の藻の懸濁液を濾過し、」とすることが表されている」と認定し、スピルリナ藻からその内部組織を分離してつまみ出し、残つた藻の懸濁液を濾過するかのように認定しているが、これではスピルリナ藻の有効成分を排出させてしまい、スピルリナに裂損のみを生ぜしめる塩分を多量に含むアルカロイドのみを排除する真空処理の有用性を没却してしまうことに帰するものである。したがつて、当初明細書に記載の技術的事項についての審決の前記認定は誤りである。
第三 請求の原因に対する認否及び被告の主張
一 請求の原因一ないし三の事実は認める。
二 同四は争う。審決の認定、判断は正当であり、審決に原告主張の違法はない。
原告は、当初明細書には、真空容器に収納し真空処理し、得られた崩壊スピルリナ藻を強力なシヤワー状噴射水で洗滌するという技術的事項は記載されている旨主張する。
しかしながら、当初明細書には、自然培養したスピルリナ藻から崩壊スピルリナ藻の乾燥粉末を得るに当たつての処理手段としては、その特許請求の範囲には「真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を濾過、乾燥し、」と、その発明の詳細な説明の欄には「これを真空洗滌、すなわち、真空遠心分離機等を用いて洗滌することによりスピルリナ藻の内面的組織ないし栄養分は十分に剔出され(第四九頁第一九行ないし第五〇頁第一行)」、「あるいは、さらに製粉し、これを乾燥して乾燥粉末藻として使用するものである(第五〇頁第五行ないし第七行)」と記載されているに留まり、補正後の特許請求の範囲に記載された「真空容器に収納し真空処理し、得られた崩壊スピルリナ藻を強力なシヤワー状噴射水で洗滌すること」が記載されていたとはいえない
また、原告は、スピルリナ藻を真空処理ないし真空洗滌することは普遍的な事柄であり、スピルリナ藻の処理に当たつて前記技術的事項を採用することは、当初明細書の記載からみて自明な事項である旨主張する。
しかしながら、当初明細書の「真空洗滌、すなわち、真空遠心分離機等を用いて洗滌すること(第四九頁第一九行、二〇行)」という記載からは、その「真空遠心分離機」とは何か、「それを用いて洗滌」とは何か全く分からず、いいかえると、藻の処理手段として思い付くものは何もなく、当初明細書の「真空洗滌、すなわち、真空遠心分離機等を用いて洗滌すること」という記載から補正後の特許請求の範囲に記載ざれた「真空収納し真空処理し、得られた崩壊スピルリナ藻を強力なシヤワー状噴射水で洗滌すること」が自明であるとすることはできない。
したがつて、本件補正は当初明細書の要旨を変更するものであるとした審決の判断に誤りはない。
なお、原告は、当初明細書には「スピルリナ藻の内面的組織ないし栄養成分を十分に剔出し、脱出後の藻の懸濁液を濾過し」なることが表されているとした審決の認定は誤りである旨主張する。
審決の「・・・脱出後・・・」は、当初明細書の特許請求の範囲の「採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を濾過、乾燥し」との記載を引用した箇所であり、また、当初明細書には「脱出後」との記載は全くないから、「脱出後」は「脱水後」の明白な誤記である。もつとも、本件補正が明細書の要旨を変更するものであるかどうかは、この「脱水」工程前の「洗滌」工程までについてであるから、洗滌工程以降の「脱水後」を「脱出後」と誤記したことは明細書の要旨変更の議論と無関係であり、原告の右主張によつて審決の結論は何ら左右されない。
第四 証拠関係
証拠関係は、本件訴訟記録中の書証目録記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。
理由
一 請求の原因一(特許庁における手続の経緯)、二(本願発明の補正前及び補正後の特許請求の範囲)及び三(審決の理由の要点)の事実は、当事者間に争いがない。
二 そこで、原告主張の審決の取消事由の存否について判断する。
1 成立に争いのない甲第二号証によれば、本件補正前の明細書(当初明細書)に記載された本願発明の技術的課題(目的)、構成及び作用効果は、次のとおりであると認められる。
本願発明は、スピルリナ藻育成適性を有する自然環境において所求の水塩培養基を人工的に成育保持し、その水塩培養基を以つてスピルリナマキシマ種あるいはスピルリナプラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を濾過、乾燥し、かつ、動物の成長刺激性と性的成熟性と生殖力の三要素をいずれも増大する成分、ないし少なくともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻を基本概念として十分といえる分量において補足した調合飼料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等入工食用物に関するものであり(当初明細書第二六頁第八行ないし第二七頁第二行)、近来、水、陸における食肉用動物は肉体的に成長速度を増大させて繁殖力を増加するとともに、若年時の溌刺たる肉を食用に供する目的の育成手段が世上何れも大いなる考慮を払われるに至り、それは、動物の早期成熟性による生存期間の短縮とこれを承継するための種族の繁殖力増強とか根本問題とされるものであるところ、本願発明はそれら二つの問題を同時に解決することを企画し、特定の自然環境、すなわち、特定の栽培適性を有する土地においてきわめて適切な培養基においてスピルリナ藻を栽培することにより、その藻が、水、陸における食肉用動物に対し成長刺激性と性的早期成熟性と生殖力の各増強性を発現することを利用してそれらの目的を同時に達成させ、併せて、同藻が顕微鏡的小藻であり極微粉末といえるところを利用して一般食用物に供することを目的とし(同第二五頁第三行ないし第二六頁第七行)、前記本件補正前の特許請求の範囲記載のとおりの構成を採用したものである(同第一頁第四行ないし第二五頁第一行)。本願発明は前記構成を採用したことにより、一般食肉動物等の生存の短縮とその生存を承継する種族の繁殖力の促進性、すなわち、それら動物の生命循環性を著しく速やかになし、もつて動物食糧の増大性を企画し、併せて人間の健康増強食品にも使用し得る食用物が得られるとの効果を奏するものである(同第五一頁第一一行ないし第一六行)。
2 これに対し、前掲甲第二号証(当初明細書)及び成立に争いのない甲第三号証(補正明細書)によれば、本件補正は、本件補正前の本願発明の特許請求の範囲における「採取後真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を濾過、乾燥し」なる技術的事項を、「真空筒、その他真空容器中に収容して上記スピルリト藻の内部圧力と真空中に於ける外部圧力との差違によりその含有液を十分に排出する程度に組織を崩壊させて上記スピルリナ藻の組織中に存在する塩分を含有する水液を排出させ、更にかくした上記崩壊スピルリナ藻を強力なシヤワー状噴射水を以て洗滌し、これと前後してその崩壊スピルリナ藻を微小な濾し目の濾布、濾紙を以て濾過して所求の程度に成熟した上記スピルリナ藻を選別し(補正明細書第一頁第七行ないし第一七行)」と特許請求の範囲を補正し、それに関連して、発明の詳細な説明の記載を「スピルリナ藻は多量な塩分含有水液を包有し、これらが上記濾布、濾紙を以てする濾過に際しても糊状を呈して目詰りのため濾過不能を招来し、かつ、粉末にすることを不可能にしている弊を有しているものであり、然も、いきなり摺り潰し等を講ずる時はスピルリナプラテンシス、同マキシマの有する上記成長力、性的成熟性、生殖力を各増大する成分を(中略)著しく減損する弊を招来するものであつて、本発明はそれ等の弊が全くない上記スピルリナ藻の(中略)粉末添加剤を得ることを目的とする(同第二頁第一六行ないし第三頁第一一行)。」「スピルリナ藻が上記多量の塩分を含有する水液を組織的に大量含有するところに帰し、従来この水液を排出するには原始的手段を以て臨み、砂と混合して上記塩分を含有する水液を砂に吸収させ、(中略)砂と混合状態にある時、摩擦、あるいは、組織の著しい損壊によつて上記スピルリナ藻の有効な所求成分が脱却し、殊に水洗時にこれを逃出させる弊が存し、あるいはこれを回避すれば上記塩分を含有する水液を十分に排出することは不可能であつた。現時に至つても機械的手段によるも上記塩分を含有する水液を排出することについては、なお、解決なし得ざる状態であり、(中略)実際には粉末になし得ざるものであつた(同第五頁第一七行ないし第六頁第一九行)。」「本発明は自然培養によるスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナプラテンシス種に属するスピルリナ藻を真空筒、その他の真空容器中に収容して上記スピルリナ藻の内部圧力と真空中に於ける外部圧力との差違によりその含有液を十分に排出する程度に組織を崩壊させて上記スピルリナ藻の組織中に存在する塩分を含有する水液を排出させ、更にかくした上記崩壊スピルリナ藻を強力なシヤワー状噴射水を以て洗滌し、これと前後してその崩壊スピルリナ藻を微小な濾し目の濾布、濾紙を以て濾過して所求の程度に成熟した上記スピルリナ藻を選別し、これを十分に乾燥し(同第三頁第一二行ないし第四頁第四行)」「本発明においては、(中略)その懸濁液を(中略)濾布(中略)を以て(中略)濾過する。この濾過に際し(中略)濾布に残存したものを収集してその糊状の固まりを真空容器中に延展状に収容し、真空ポンプを使用して中真空状態を三〇分、ないし六〇分程度形成すれば真空容器中のスピルリナ藻はその内部圧力と真空中に於ける外部圧力との差違によりその含有液を十分に排出する程度に組織原状を崩壊させて上記スピルリナ藻の組織中に存在する塩分を含有する水液を外部に排出させる(同第七頁第二行ないし第八頁第五行)。」「濾過残存スピルリナ藻中にも、なお、多量の未成熟(小さいもの)スピルリナ藻が存在することは回避なし得ないからこれを真空容器中に収容して上述の通り真空処理を行い、その処理後、そのスピルリナ藻を水洗槽中に移行し、その中で濾布上に載置し、これを動揺させながら強力なシヤワー状噴射水の注水により洗滌する(同第八頁第一二行ないし第一九行)。」と補正するものであることが認められる。
右事実によれば、本件補正は、スピルリナ藻はその組織内に多量の塩分を含有する水液を包有していることによつて濾過が困難であり、しかもいきなり摺り潰すとか、砂と混合するなどの従来法ではスピルリナ藻の有効成分が破壊し、水洗時これを逃出させる弊があるが、現時に至つても機械的手段による前記水液を排出することについてはなお未解決であるところ、本願発明において、それらの弊の全くないスピルリナ藻の粉末を得ることを技術的課題として新たに加え、右技術的課題は前記特許請求の範囲において補正された構成によつて達成されるものであることを明らかにしたものである。
3 ところで、本願発明の特許請求の範囲について補正された前記技術的事項、すなわち、スピルリナ藻を真空容器に収納し真空処理し、得られた崩壊スピルリナ藻を強力なシヤワー状噴射水で洗滌し、これと前後してその崩壊スピルリナ藻を濾過して所求のスピルリナ藻を選別するという処理手段に関連する点については、前掲甲第二号証によれば当初明細書には、「スピルリナ藻を栄養自給により(中略)育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を濾過、乾燥し(当初明細書第二六頁第一三行ないし第一五行)」「上述した藻は(中略)メキシコ国特許第一二五八四六号中に示された方法によつて培養基から分離される。上記の特許によれば、分離は、真空洗滌され、更に、脱水された上記藻の懸濁液を濾過することによつて採取する(同第三六頁第一三行ないし第三七頁第一行)。」「これを真空洗滌、即ち、真空分離機等を用いて洗滌することによりスピルリナ藻の内面的組織、ないし、栄養成分は十分に剔出され(同第四九頁第一九行ないし第五〇頁第一行」と記載されているのみであることが認められる。
右事実及び前記2認定の事実によれば、当初明細書には、スピルリナ藻を培養基より分離する手段として、前記2で述べた従来法では得られなかつた塩分を含有する水液を排出させ所求の成分を有する粉末のスピルリナ藻を得ることを技術的課題とし、その解決のために「真空筒、その他真空容器中に収容してスピルリナ藻の内部圧力と真空中に於ける外部圧力との差違によりその含有液を十分に排出する程度に組織を崩壊させてスピルリナ藻の組織中に存在する塩分を含有する水液を排出させ、さらにかくした前記崩壊スピルリナ藻を強力なシヤワー状噴射水を以て洗滌し、これと前後してその崩壊スピルリナ藻を微小な濾し目の濾布、濾紙を以て濾過して所求の程度に成熟したスピルリナ藻を選別する」技術的事項が記載されているとは認められない。また、本件全証拠によるも、粉末のスピルリナ藻を得るに当たり前記技術手段を採用することが技術上自明の事項であると認めることもできない。
原告は、当初明細書には、藻の培養基から分離する方法を示す文献としてメキシコ国特許第一二五八四六号を掲けてあり、右特許明細書には、藻を真空処理し、その後強力なシヤワーで洗滌する旨のことが記載されているから、結局当初明細書には前記技術的事項が記載されていると主張するが、成立に争いのない甲第八号証によれば、メキシコ国特許第一二五八四六号明細書には、第一、第二段階の濾過工程、第三段階の水による真空中での噴霧洗滌(塩分の除去)、第四段階の真空状態での水の除去、第五段階の粉砕機による藻の細胞の破壊による液化、第六段階の回転式筒乾燥機等による乾燥の各工程から成る、藻を含んだ溶液から顕微鏡的微小藻を濾過、洗滌、粉砕、乾燥の工程により分離する方法が記載されているところ、右方法の第一段階における藻を含んだ溶液処理のための装置を示すFig1ないしFig4cの濾過器及びFig5並びにこれらについての説明(甲第八号証第八頁第一行ないし第一九頁第四行)を検討してみても、前記補正後の技術的事項が記載されているとは認められない。
したがつて、本件補正により補正された前記技術的事項については、当初明細書には記載はなく、またこれが粉末のスピルリナ藻を得るに当つて当然に採用される技術的事項であるとはいえないとした審決の判断に誤りはない。
なお、原告は、当初明細書には「栄養成分を十分に剔出し、脱出後のり藻の・・」とすることが表されているとした審決の認定は誤りである旨主張している。前掲甲第二号証によれば、当初明細書には「栄養成分は十分に剔出され(第五○頁第一行)」と記載されていることが認められ、「は」が「を」に替えられているが、これは、真空洗滌を施す者の観点、真空洗滌が施されるスピルリナ藻の観点からの表現の相違にすぎず、剔出の意味を誤認しているわけではなく、その意味するところに実質的な誤りはない。また「脱出後」の点は、「脱水後」の誤記であることは当初明細書の全体の記載からして明らかなところであり、しかも、右の点は真空洗滌後の工程にかかわるどころであり、明細書の要旨を変更するものであるとする該真空洗滌の工程にかかわる補正と無関係であるから、このことが審決の結論に影響を及ぼすものでなく、原告の前記主張は採用し得ない。
4 以上のとおりであるから、本件補正は当初明細書の要旨を変更するものであるとした審決の判断は正当であつて、審決に原告主張の違法はない。
三 よつて、審決の違法を理由としてその取消しを求める原告の本訴請求は失当としてこれを棄却することとし、訴訟費用の負担及び上告のための附加期間については行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条、第一五八条第二項の各規定を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 藤井俊彦 裁判官 竹田稔 裁判官 岩田嘉彦)
別紙
2特許請求の範囲
1. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナプラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻を基本概念として十分といえる分量に於て補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
2. 本文に詳記ずるようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナブラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採敗後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と、性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻を総重量の0.1%以下に於て補足しだ調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナプラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と、性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕徴鏡的微小藻を総量の0.1%から15%の範囲に於て補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
4. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナプラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と、性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻を総量の15%から30%の範囲に於て補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
5. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナプラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と、性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻を上記成長刺戟性と性的成熟性と生殖力とを段階を劃して増加する程度に補足した調合餌科を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
6. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナプラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻を上記成長刺戟性と性的成熟性と生殖力とを段階を劃して増加するために、他の調合資料と栄養上の均衡性を計測して総重量の0.1%以下に於て補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
7. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナプラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻を上記成長刺戟性と性的成熟性と生殖力とを段階を劃して増加するために、他の調合資料と栄養上の均衡性を計測して総量の0.1%から15%の範囲に於て補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
8. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナプラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と、性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻を上記成長刺戟性と性的成熟性と生殖力とを段階を劃して増加するために、他の調合資料と栄養上の均衡性を計測して総量の15%から30%の範囲に於て補足した調合餌料特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
9. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナプラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻を給与する各動物の固有性に従つて成長刺戟性と性的成熟性と生殖力とを増加するために十分といえる程度に補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナプラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻を給与する各動物の固有性に従つて成長刺戟性と性的成熟性と生殖力とを増加するために総重量の0.1%以下に於て補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
11. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナプラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻を給与する各動物の固有性に従つて成長刺戟性と性的成熱性と生殖力とを増加するために総量の0.1%から15%の範囲に於て補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
12. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナプラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と、性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻を給与する各動物の固有性に従つて成長刺戟性と性的成熟性と生殖力とを増加するために総量の15%から30%の範囲に於て補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
13. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナプラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と、性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻に、プチルヒドロキシトルエン、エトキシキノレイン、エリトキシキノレイン、エリスロアスコルピツク酸等の酸化防止剤を活性組成物が酸化を遅延する程度に添加したものを補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
14. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナプラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻に、糖密、穀粒加水分解液、蒸溜液溶解産物、デキストリン、澱粉、コーンシロツプ、骨膠、ゼリー、及び、天然ゴムから成る配合物適性を有する精選安定資料を包含させたものを補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
15. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナプラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、たいし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻に、糖密、穀粒加水分解液、蒸溜液溶解産物、デキストリン、澱粉、コーンシロツプ、骨膠、ゼリー、及び、天然ゴムから成る配合物適性を有する精選安定資科を包含させたものを総重量の0.1%に於て補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
16. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナプラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かし、動物の成長刺戟性と性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻に、糖密、穀粒加水分解液、蒸溜液溶解産物、デキストリン、澱粉、コーンシロツプ、骨膠、ゼリー、及び、天然ゴムから成る配合物適性を有する精選安定資料を包含させたものを総量の0.1%から30%の範囲に於て補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
17. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナプラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と、性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻に、第一に活性組成物が酸化を遅延する程度に少量の酸化防止剤を添加し、第二に 糖密、穀粒加水分解液、蒸溜液溶解産物、デキストリン、澱粉、コーンシロツプ、骨膠、ゼリー、及び、天然ゴムから成る配合物適性を有する精選安定資料を包含させたものを補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
18. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナブラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と、性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻に、第一に活性組成物が酸化を遅延する程度に少量の酸化防止剤を添加し、第二に.糖密、穀粒加水分解液、蒸溜液溶解産物、デキストリン、澱粉、コーンシロツプ、骨膠、ゼリー、及び、天然ゴムから成る配合物適性を有する精選安定資料を包含させたものを総重量の0.1%以下に於て補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
19. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナブラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養目給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻に、第一に活性組成物が酸化を遅延する程度に少量の酸化防止剤を添加し、第二に14.の糖密、穀粒加水分解液、蒸溜液溶解産物、デキストリン、澱粉、コーンシロツブ、骨膠、ゼリー、及び、天然ゴムから成る配合物適性を有する精選安定資料を包含させにものを総重量の0.1%から30%の範囲に於て補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
20. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナブラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と、性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻を軟体動物、甲殼類、魚類、及び、哺乳動物の成長刺戟性と、性的成熟性と、生殖力を何れも増大する程度に補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
21. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナブラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻を軟体動物、甲殼類、魚類、及び、哺乳動物の成長刺戟性と、性的成熟性と、生殖力を何れも増大するために総量の0.1%以下に於て補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
22. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナブラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と、性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻を軟体動物、甲殼類、魚類、及び、哺乳動物の成長刺戟性と、性的成熟性と、生殖力を何れも増大するために総量の0.1%から30%の範囲に於て補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
23. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナブラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と、性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻を軟体動物、甲殼類、魚類、及び、哺乳動物の成長刺戟性と、性的成熟性と生殖力とを何れも増大するために少量補足した調合餌料を構成するに際し、上記スピルリナマキシマ種とスピルリナブラテンシス種の〓スピルリナマキシマ種のみを補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
24. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナブラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻を軟体動物、甲殼類、魚類、及び、哺乳動物の成長刺戟性と、性的成熟性と、生殖力とを何れも増大するために少量補足した調合餌料を構成するに際し、上記スピルリナマキシマ種とスピルリナブラテンシス種の〓スピルリナブラテンシス種のみを補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
25. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナブラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と、性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻を少量と活性組成物の酸化を遅延させる酸化防止剤の微量とを各補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
26. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於そ所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナブラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と、性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻に配合適性を有するコーン、蒸溜液溶解産物、デストリン、澱粉、コーンシロツブ、骨膠、ゼリー、及び、天然ゴムの配合物を精選安定資料として少量添加し、これを軟体動物、甲殼類、魚類、及び、哺乳動物の成長刺戟性と、性的成性と、生殖力とを何れも増大.する程度に補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。
27. 本文に詳記するようにスピルリナ藻育成適性を有する自然環境に於て所求の水塩培養基を人工的に生成保持し、その水塩培養基を以てスピルリナマキシマ種、あるいは、スピルリナブラテンシス種に属するスピルリナ藻を栄養自給により生存を維持する自然培養により育成し、採取後、真空洗滌して脱水後の藻の懸濁液を〓過、乾燥し、かつ、動物の成長刺戟性と性的成熟性と、生殖力の三要素を何れも増大する本文記載のr成分、ないし、少くともその三要素を増大する主成分を定量成分として含有する顕微鏡的微小藻に第一に活性組成物の酸化を遅延させる程度に酸化防止剤を添加し、第二に配合に適した糖密、穀粒加水分解液、コーンシロツブ、骨膠、ゼリ一、及び、天然ゴムの配合物を精選安定資料として内含させ、これを軟体動物、甲殻類、魚類、及び、哺乳動物の成長刺戟性と、性的成熟性と、生殖力とを何れも増大するために十分に補足した調合餌料を特徴とするスピルリナ藻を補足した動物用等人工食用物。